第11回ITSシンポジウム2012 プログラム

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企画セッション 

1-1 「データセントリックITS」
プローブ情報、カーナビ情報、車両情報、持ち込み端末のセンサ情報など、自動車を起点とした多様な情報をインターネットを介して利用する技術的環境は整いつつある。さらに、時空にまたがり取得されたデータを統合し、このBigDataから知識を抽出することで、ITSが新しい価値を創造することが期待されている。この期待に応えるためには、言わば「データセントリックITS」技術を確立する必要がある。本セッションでは、プローブ情報、ドライバモニタ、インターネットITS、機械学習の4つの観点から、データセントリックITSのあり方、今後必要な技術開発について議論する。

モデレータ:
武田一哉 名古屋大学大学院情報科学研究科 教授
宮島千代美 名古屋大学大学院情報科学研究科 助教

パネリスト:
森川高行 名古屋大学大学院環境学研究科 教授
時津直樹 インターネットITS協議会 事務局長
宮島千代美 名古屋大学大学院情報科学研究科 助教
松井知子 情報・システム研究機構統計数理研究所 モデリング研究系 教授

 

1-2 「エネルギーITS」
今年度、最終年度を迎えたNEDOエネルギITS事業は大型トラックの自動運転隊列走行を通じて、低燃費で安全な自動運転を実現することを目的としている。開通前の第二東名高速道路などを利用したデモンストレーション走行を通じて、着実な成果をあげ、日本の自動運転技術を国内外にアピールしてきた。本セッションでは、そのプロジェクトにおいて中心的な役割を果たしてきた方々を、モデレータおよびパネリストとしてお迎えし、成果の概要を説明して頂くと共に、今回のプロジェクトで明らかになった課題、今後の展開、そして、社会への還元方法について議論を行う。

モデレータ:
津川定之 名城大学 理工学部情報工学科 教授

パネリスト:
青木啓二 財団法人日本自動車研究所ITSセンター 自動運転・隊列走行 プロジェクトリーダー
須田義大 東京大学生産技術研究所先進モビリティセンター長・教授
大口敬 東京大学生産技術研究所先進モビリティセンター 教授
石太郎 早稲田大学 環境総合研究センター 招聘研究員

 

2-1 (市民公開セッション) 「モビリティデバイド・高齢者支援ITS」
我が国における交通事故による死亡者数は近年減少の傾向にあるが、年齢別に見ると高齢者の死亡者数は増加傾向にある。愛知県は全国有数の自動車産業集積地域であるが、一方で交通事故死亡者数も全国ワーストとなっており、平成23年中の交通事故死者は225名と全国1位であり、その約半数の114名が65歳以上の高齢者となっている。
本セッションでは、安全・安心なモビリティ社会実現のため、特に高齢者事故の現状と、その軽減を目指したITSの可能性について議論することを目的とする.

モデレータ:
小栗宏次 愛知県立大学 情報科学共同研究所 教授

パネリスト:
矢橋昇 交通評論家
伊藤嘉康 豊田市 交通安全学習センター長
星野理恭 愛知県 県民生活部地域安全課長
小澤智明  愛知県ITS推進協議会 事務局長/愛知県 地域振興部交通対策課長
小野山利昭 トヨタ車体株式会社 新規事業開発部長

 

2-2 「スマートコミュニティとITS」
スマートコミュニティ、すなわち、スマートグリッドなどによる電力の有効利用、地域の交通システム、市民のライフスタイルの変革などを複合的に組み合わせた、エリア単位での次世代エネルギー・社会システムを実践している4コミュニティからパネラーをお招きして、各地域での実践成果の紹介をして頂き、震災復興も含めて、今後の発展方法と、それに対してITSが果たす役割を議論する。

モデレータ:
田中敏久 東京大学生産技術研究所 客員教授

パネリスト:
福島正夫 日産自動車株式会社 企画先行技術開発本部 環境・安全技術渉外部 担当部長
石川要一 豊田市 総合企画部環境モデル都市推進担当専門監 兼 環境モデル都市推進課長
鈴木高宏 長崎県 産業労働部 政策監/東京大学 生産技術研究所 客員准教授
長谷川史彦 東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授

 

対話セッション (ポスターによる対話型セッション)

111編の論文が発表されました。詳細はプログラムをご覧ください。

●優秀論文賞
優秀論文賞は下記の方々が受賞されました。おめでとうございます。

1-B-01

「車線変更を考慮した車両マッチング手法に基づく旅行時間計測」

小川喬之、宇野伸宏、嶋本寛(京都大学)、塩見康博(立命館大学)

 

車線変更確率や車間流入確率をモデルによって表現し、パターンマッチングを用いて旅行時間を計測する手法は独自性が高く、技術的有用性も高い。

2-A-01

「車両感知器整備減少を背景とした信号制御方式の評価」

岩岡浩一郎(パナソニックSSインフラシステム)、新倉聡(神奈川県警察本部)

今後における車両感知器整備数の減少を考える必要性に着目し、投資効率と制御効果の高い方策を具体的に検討しており、この独自性、社会的意義は極めて高い。

2-B-10

「自車位置推定のための複数車載カメラ映像の効率的な時空間マッチング手法」

福元和真、川崎洋(鹿児島大学)、小野晋太郎、池内克史(東京大学)、子安大士(埼玉大学)

専用のプローブカーからの映像だけでなく、一般の車載カメラからの映像を対応付ける手法の提案で、今後の実応用への展開が大いに期待される。

●英文ジャーナル推薦
同じく下記の論文が英文論文誌 International Journal of ITS Researchに推薦されました。

1-B-01

「車線変更を考慮した車両マッチング手法に基づく旅行時間計測」

小川喬之、宇野伸宏、嶋本寛(京都大学)、塩見康博(立命館大学)

1-B-02

「PT・PPデータのデータ融合による抜け落ち滞在の推定と補正手法」

伊藤創太、羽藤英二(東京大学)

2-A-01

「車両感知器整備減少を背景とした信号制御方式の評価」

岩岡浩一郎(パナソニックSSインフラシステム)、新倉聡(神奈川県警察本部)

2-B-10

「自車位置推定のための複数車載カメラ映像の効率的な時空間マッチング手法」

福元和真、川崎洋(鹿児島大学)、小野晋太郎、池内克史(東京大学)、子安大士(埼玉大学)

2-C-06

「路車協調型エコドライブ支援システムの実行可能性」

塚田悟之(日産自動車)

2-C-07

「道路カント変化を考慮した操舵制御と自動チューニング法」

杉町敏之、深尾隆則(神戸大学)、鈴木儀匡、河島宏紀(日本自動車研究所)

●ベストポスター賞
応援したくなる研究、賞賛したい取り組みにエールを送り、スポットライトを当てて多くの方に知っていただけるよう、ベストポスター賞の選考を行いました。受賞された発表はいずれも有用性が高く、実用化に向け今後が期待できる点が高く評価されました。

1-A-09

路面電車の位置情報配信から街のナビゲータを目指して

森田 均 (長崎県立大学)

ユーザーデバイスを用いた運行情報提供は一般市民の利便性を高めるとともに減災にも役立ち、時刻表のないフレキシブルな鉄道運行と街歩きによる新しい観光スタイルが期待される。

1-B-14

工事入札公告を用いた道路更新情報の推定可能性に関する研究

中條 覚 (株式会社三菱総合研究所)

プローブデータ等の通常の交通データではなく、ウェブ上で公開されている工事入札公告を用いて道路情報を更新するという発想が優れており、実用化が期待される。

1-C-05

料金収受システム向けステレオ車両検知の開発

佐藤 俊雄 (株式会社東芝)

ステレオカメラを用いて料金所を通過する車両を検知するシステムの紹介で、対象アプリケーションが明確であり、対・環境性や車両の動きなど、現実に即した評価がなされている。アルゴリズムの紹介が的確であり、質問者の意図をくんだ回答をしておられた点も高く評価する。

1-D-06

ドライバ特性に着目したベクション刺激の効果

岡田 若奈 (名古屋電機工業株式会社)

ベクション刺激という新規性のある技術のすばらしさと、運転特性に分けてその効果を示したところに研究としての独創性とレベルの高さが見ることができる。

2-A-12

災害時と平常時の交通マネジメントのためのデータ融合と解析

金 進英 (東北大学)

東日本大震災の交通マネジメントを対象とした研究でタイムリーである上、大変わかりやすいポスターと説明で複雑な研究体系と内容が表現された。

2-B-09

HOGベースのBag of Featuresによる原動機付自転車ナンバープレート検出

荻内 康雄 (住友電気工業株式会社)

原動機付自転車のナンバープレートの形状や模様が都道府県ごとに異なるという新しい問題に着目し、これを解決する優れた手法を提案、さらに実証実験でその有効性を確認した点を高く評価する。

2-C-07

道路カント変化を考慮した操舵制御と自動チューニング法

杉町 敏之 (神戸大学)

エネルギー ITS推進事業における隊列走行の操舵制御に関して、カントの切り替わり部の推定により高精度な制御性能を実現する手法が提案され、実際の環境下で生じる 実問題に対して、その解決方法を示す内容であり、実用化に対する大きな貢献をもたらすことが期待される。

2-D-11

運転中の有効視空間推定に向けた注視点の奥行き方向移動距離に

対する認知時間の変化

高木 健治 (愛知県立大学)

人の空間認識において奥行きに注目した着眼点が良く、不明瞭だった問題を明らかにし、サイン計画や安全対策に関する新しい基準を提示する可能性があり、応用・展開を期待させる研究である。