第17回ITSシンポジウム2019 プログラム

開催概要 プログラム 会場のご案内

大会委員会

プログラム

最終プログラム掲載しました。こちらをご覧ください.

12月12日(木) 10:00-10:15
開会式

実行委員長挨拶    山崎 光悦          金沢大学 学長
共催者挨拶          佐々木 眞一     特定非営利活動法人ITS Japan 会長

12月12日(木) 10:15-11:00
基調講演   令和から見た天正文化 ~復元画でよみがえる金沢城&利家とまつ~

金沢文化の基底には何が隠されているのだろうか。講演者はそこに安土桃山時代の文化が保存されていると考えている。明治維新の際、文明開化が叫ばれ、江戸期以前の文化を時代遅れとする風潮が定着してきた。文明開化の源流にはルネッサンス文化があるわけだが、ではそのルネッサンス文化の絵画技法を駆使して、江戸期以前の日本を表現したら何が見えてくるのだろうか。

本講演では、復元画という絵画技法を紹介しながら時間軸を自由に移動し、令和時代と天正時代の接続を試みてみたい。そして、伝統文化と技術革新の共存を目指す金沢の「志」を、聴衆の皆様と共有したいと考えている。

キーノートスピーカ
末松 智     歴史考証復元画家

12月12日(木)  16:00-17:30
企画セッション1  北陸地方における自動運転の取り組みと課題

現在、北陸地方では様々な自動運転に関する取り組みが行われている。北陸地方の多くの地域では少子高齢化に伴う公共交通機関の不足といった課題を抱えており、自動運転という新たなモビリティーサービスの活用が切望されている。一方、北陸地方は天候が悪化する状況が多く存在しているため、自動運転の運用に係る大きな課題を抱えている地域でもある。このため、早期実現を目指すためにはインフラに強く依存した自動運転システムが必要と考えられる。一方、様々なサービス、事業展開を考えた場合、インフラになるべく依存しない自動運転の実現も望まれるべき姿となる。このため、本セッションでは北陸地方における取り組みをご紹介いただくとともに、北陸地方において自動運転を実現するための課題を整理し、技術とインフラへの依存のバランス等について議論を行う。

モデレータ
菅沼 直樹          金沢大学 新学術創成研究機構 自動運転ユニット ユニットリーダー/教授

パネリスト
加藤 晋            産業技術総合研究所 情報・人間工学領域知能システム研究部門 首席研究員
中富 大輔         石川県商工労働部 産業政策課長
藤吉 弘亘         中部大学 工学部ロボット理工学科 教授
松山 耕輔         日野自動車株式会社 商業CASE推進部 主査

12月13日(金)  9:30-11:00
企画セッション2  インバウンドを含めた観光振興を支えるITS ~金沢港に寄港するクルーズ船~

訪日外国人旅行者数は年間3000万人を突破した。このような中、クルーズ船による来訪が堅調な伸びを見せている。2018年(1月~12月)の訪日クルーズ旅客数は約244。6万人、クルーズ船の寄港回数は2、928回となり、クルーズ船の寄港回数は過去最高を記録した。 クルーズ船は、寄港地を中心に一度に多くの観光客が訪れ、グルメ、ショッピングなど地域での消費が生まれるとともに、外国人観光客との交流が進展するなど、地方創生に大きく寄与する。一方、港と観光地・街の中心部を結ぶ公共交通のあり方にはまだまだ課題が残されている。本シンポジウムでは、金沢を中心に日本海側におけるクルーズ観光の取り組みや動向について、官民から取り組みや話題を提供し、ICT、ITS技術、AI、ビッグデータの利活用によって、モビリティ水準をいかに高め、港を中心とした交通まちづくりについて議論したい。。

モデレータ
小橋川 嘉樹      株式会社電通デジタル/金沢大学 客員研究員

パネリスト
高山 純一         金沢大学 理工研究域地球社会基盤学系 教授
久保 光夫         石川県商工労働部 港湾活用推進室 次長
畠田 繁実         国土交通省 北陸地方整備局 金沢港湾・空港整備事務所 所長
池田 大造         株式会社NTTドコモ 先進技術研究所 主幹研究員

12月13日(金)  16:00-17:30
企画セッション3    災害時対応とITS

地球温暖化の様々な影響が懸念される近年、豪雨、高潮、暴風・波浪、地震、豪雪など、気候変動の影響等による気象の急激な変化や自然災害の頻発化・激甚化に我が国はさらされている。これらの自然災害に対して日頃から重要インフラがその機能を喪失しないよう、また、災害発生直後から重要インフラの早期復旧に向けて、平時から様々な万全な備えを行うことが重要である。特に、交通ネットワークの機能停止は、物流・人流に甚大な被害を与えるので、早期に復旧させる対策が重要である。そこで、様々な災害が発生した場合に生じる難題をITSによりどのように解決できるか、また、それに伴い今後開発すべき技術などについて議論を行う。

モデレータ
堀田 裕弘       富山大学 都市デザイン学部 副学部長

パネリスト
神田 佑亮         呉工業高等専門学校 環境都市工学科 教授
山田 哲也       国土交通省金沢河川国道事務所 金沢河川国道事務所長
西田 純二         株式会社社会システム総合研究所 代表取締役
島田 英俊         北陸電力株式会社 技術開発研究所 所長

対話セッション (ポスターによる対話型セッション)

8つのセッションで98編の論文が発表されました。
以下8編がモデレータの選考によりベストポスター賞に選ばれました。おめでとうございます。

一般街路交差点における合流支援方法に関する基礎的研究
○市岡佑樹, 三輪富生, 田代むつみ, 森川高行(名古屋大学)

 

●授賞理由

本論文は、現実的な状況下における合流支援の効果を検証するために、確率速度モデルを用いて車両移動に不確実性を与えた条件下での交差点における合流支援方法を提案し、交通流シミュレーションを用いて検討を加えたものである。実条件に近い状態を想定した環境を設定した説得力のある提案がされており、その新規性、実用性を高く評価した。また、ポスター、発表の説明、質疑を含めプレゼンテーションも的確であった。

 

車線内走行位置ゆらぎとドライバの眠気レベルの関係分析

○本井みくに, 河中治樹, 小栗宏次(愛知県立大学)

 

●授賞理由
ドライブレコーダの前方映像だけの情報分析から、ドライバの眠気レベル状態を推定する新しい手法を考案したもので、実際に多数の実車走行データをもとに深層学習により高精度な眠気レベル推定を可能とした研究である。 その有用性・実用性は高く、高速道路での事故軽減に資する研究として高く評価された。また、ポスターの構成、発表・質疑応答についても共にわかりやすく的確であり、ベストポスター賞として推薦する。

 

自動運転バスの速度制御設計

○安藤孝幸(東京大学), 周永康, 籾山冨士男, 青木啓二(先進モビリティ), 楊波, 中野公彦(東京大学)

 

●授賞理由
滑らかな加減速が要求される自動運転バスの車両速度制御において、車両運動理論に基づきつつ制御負荷やプラントの特性を考慮した実際の適用を考慮した制御モデルを構築している。要求性能を適切に設定し、公道走行実験を通して目標達成を実現しているだけでなく、その中から課題も明らかにしており、将来性が期待される。さらに、論文内容、プレゼンテーション及び質疑応答も適切である点も高く評価する。

 

照明の配光・色温度・パルス制御の最適化によるトンネル内落下物の視認性向上

○池田善久, 重松大輝, 大草光司(愛媛大学), 三宅賢二, 木村正義(西日本高速道路エンジニアリング四国), 神野雅文(愛媛大学)

 

●授賞理由
本研究では、高速道路のトンネル内落下物事故を抑制する手段として、トンネル照明の配光制御と色温度制御、さらにパルス点灯制御を組合せることで、落下物の視認性向上が図れることを報告している。車両側への対策ではなく、インフラ側に対策を行うことによって全ての道路ユーザが便益を享受できるようになるため、インフラ側からのITSの取り組み、そして交通安全への貢献という観点からも価値があると考えられる。また、ポスター発表における発表内容も適切であり、研究内容、発表、いずれにおいても優れていると判断した。

 

完全自動運転シェアカーサービスが自動車の移動と駐車に与える影響分析
溝上章志, 八戸龍馬, ○古賀逸人(熊本大学)

 

●授賞理由

社会的に着目度が高まりつつある自動運転シェアリングの導入が、熊本都市圏の駐車行動にどのような影響を与えるかを定量的に明らかにしている。都市部における駐車時間が半減するなど、シェアリング普及による駐車需要の低減が示され、まちなかの駐車容量の削減、土地利用の見直しに向けた重要な示唆が得られた。研究の重要性/発展性が期待される点に加え、説明の分かりやすさ、質問に対する的確な回答が得られたことを高く評価した。

 

路上機器減少を背景とした仮想的な車両感知器情報推計手法の検討

○岩岡浩一郎, 弘津雄三(パナソニック システムソリューションズジャパン), 平田忠史, 中邑正樹(愛知県警察本部)

 

●授賞理由
過去に整備された車両感知器の維持・更新が困難になりつつあるという問題を背景に、路上機器整備数の大幅な減少下で交通状況を把握するための手法を提案している。多様な制約のある現実問題に対して有用な解決策の提示を目指す挑戦的な研究であることを高く評価し、受賞論文に選定した。

 

ETC2.0プローブ情報を活用したボトルネック指数に関する検証

○中田寛臣, 松田奈緒子, 横地和彦, 里内俊介(国土技術政策総合研究所), 前川友宏, 田名部淳(地域未来研究所)

 

●授賞理由
ETC2.0やプローブデータなど既存データを利用し、高速道路や一般道路について渋滞発生箇所をボトルネック指数という指標を用いて渋滞ボトルネック箇所を的確に評価しており、かつその相関も非常に高いものであった。説明についても非常にわかりやすく、今後も路線評価や整備優先性評価などについて、社会的有用性が見出せるものであった。

 

出合い頭事故防止にむけた交差点環境の相互影響分析

○野村拓未, 廣田正樹, 佐藤潤弥(九州大学)

 

●授賞理由
出会頭事故の要因分析について、多数の箇所の現地踏査を行い、道路環境、ドライバーの視野環境、カーブミラー等、丁寧にデータ化を行っている。その現地状況と対策実施状況と事故発生状況を分析し、どの要素が出会頭事故発生に影響を与えるか科学的に分析している。また、事故と車両速度との関係分析など、今後の更なる研究成果を期待し、ベストポスター賞にふさわしいと判断した。

 

 バンケット 12月12日(木)

レストラン アイ・エリア友禅 (石川県地場産業振興センター内)