第5回 アジア太平洋地域ITSフォーラム(2002 ソウル)

開催概要

【会期】 2002年7月2日(火)~7月5日(金)
【会場】 ソウル/COEXコンベンションセンター
【テーマ】 Shaping the Future with ITS
【参加国・地域】 17
【参加者数】 1,161名
【出展数】 74
【論文数など】 論文:180、Session:30

開催報告

本大会より従来の“セミナー”から“フォーラム”に名称を変更しました。ITS韓国の努力により、全体としてまとまったフォーラムとなりました。

 

 

 

参加者・セッション・展示

ITS韓国の発表では、総参加者1,060名(登録者801名、展示スタッフ等259名)、展示入場者延べ1,161名、17カ国/地域+ADB(アジア開発銀行):韓国605名、日本59名、マレーシア56名、台湾38名、中国10名、米国8名、香港5名、豪州4名、ロシア3名、ベルギー2名、パプア・ニュー・ギニア2名、ニュージーランド2名、シンガポール2名、フィリピン1名、インド1名、カナダ1名、ベトナム1名、セッション数30セッション、180論文となっております。 また、展示については、37社・団体より74ブースの出展があり、日本からは、4社・団体(トヨタ自動車、松下通信工業、三菱重工業、ITS Japan)が出展致しました。COEXのグランド・ボール・ルームを使用し、大変大掛かりな展示もあり予想より迫力のあるものでした。

全体会議・ES・開会式・閉会式

7月2日(火)は、3つのプレナリー・セッション(PS :全体会議)と開会式が行われました。当初の計画から、開会式が午後に変更になり、最初は全体会議から開始されました。11:00よりのPS-1-2のカントリーペーパーに、日本から総務省田邊補佐が登壇し、モデレータ野口氏(トヨタ自動車)のセッションにおいて日本のITSについての発表が行われました。また、PS2「アジア太平洋地域の協調」には、福田助教授(日本大学)が登壇されました。

ロビーにて展示会のテープカット・セレモニーが行われた後、開会式が行われました。日本政府を代表し総務省の田邊補佐がスピーチを行い、また、ITS Japanを代表し常務理事の石が挨拶致しました。

 

 

 

エクゼクティブ・セッション(ES)は6セッション行われ、日本から池内教授(ES1:東京大学)、郡氏(ES2:三菱重工業(株))、小山氏(ES3:(株)日立製作所)、櫛田氏(ES5:本田技研工業(株))、朝倉氏(ES6:警察庁)が登壇され、それぞれのプレゼンは、非常に具体的で日本が推進しているITSの現状と今後を示する説得力あるものでした。7月5日(金)の閉会式には、ITS Japanの中原副会長がご登壇され、スピーチをするとともに、続くパッシング・ザ・グローブ(地球儀)にも加わっていただきました。また、中原副会長は、午前中に行われた特別セッション「ITS and e- & m-commerce」にご登壇いただき、大変興味あるプレゼンが行われました。また、7月2日午前中に、プレス・カンファレンス(記者との質疑応答)が行われ、ITS Japan野原委員長と石が参加致しました。日本のカーナビやETCの実態について興味を持たれておりました。

今回のフォーラムの特徴について

今回のフォーラムの特徴について、ポイントを以下にご報告致します。

  1. 第1回東京(1996)から数えて、オーストラリア(1997)、マレーシア(1999)、中国(2000)、韓国(2002)と世界会議開催経験国も含めて、アジア太平洋地域でITSを主導的に推進する主な国が一応終わり、今後ITSを進めたいとする国や地域に引き続きフォーラムを継続するフェーズになります。また、今回は従来の“セミナー”から“フォーラム”に名称変更した始めてのフォーラムとなります。
  2. スタート時点でITS韓国が考えていたコンセプトは、かなり大規模なものでしたが、途中で、ITS韓国に出張しアジア地域の代表者を含めて打ち合わせた結果、アジア太平洋地域フォーラムとして各国の実力に応じた開催規模になったと言えます。しかし、総参加国数やアジアからの参加国数から見ても、過去を越えるフォーラムとなっており、また、ITS韓国の努力により、全体としてまとまったフォーラムとなり成功裡に終了したと言えます。
  3. 日本からは、政府代表として今回の担当省庁である総務省のご出席もいただき、また各セッションに省庁、関係団体、各企業の代表が参加し日本のプレゼンスを示すことができました。韓国へのビジネス展開への意欲が出にくい中で、事前の募集活動は順調ではありませんでしたが、韓国やアジアのITSを知るよい機会となったとのコメントもあり、皆様のご協力により、今回のフォーラムは意義あるものとなりました。
  4. アジア各国/地域より13カ国の参加があり、アジア太平洋地域のフォーラムとして盛り上がりがあったと言えます。このうちパプア・ニュー・ギニアは、ITSで継続的に連携をとっているアジア太平洋会議への参加希望が出されるなど新しい動きがありました。
  5. ITS韓国のコンセプトとして、ITSアメリカ、ERTICO、ITSカナダ等アジア太平洋地域以外にも積極的な参加要請が出されました。アジア太平洋地域を基本軸として、それ以外のITS連携の国への呼びかけは、基本精神を明確にして取り組めば、一つの方向としてよいのではないかとの感触でした。この取り組みにより、むしろアジア太平洋地域内での結束につながるものと感じられました。
  6. 来年度開催国の台湾から、ITS台湾毛理事長他関係者が参加し、クロージング・セッションへ登壇し、2003年7月1日から4日に第6回アジア太平洋地域フォーラム開催の正式意思表示が行われました。台湾が積極的に取り組もうとする意欲が伝わってくるもので、次回への期待が持てます。
  7. 展示ブースでは、韓国道路公社、Traffic-ITS会社、 AITS社、韓国建設交通省、Miera ITS社が大面積のブースで出展しておりました。また、ソウル市、モデル地区のJeju(済州市)、新韓国情報提供システム(KARDA社)、携帯電話利用の料金支払いシステム(Harex Info Tech社)、車両情報提供システム(Thinkware System社)等韓国のITSを知るのに興味ある展示もありました。
    日本からは、前述の通りトヨタ自動車、松下通信工業、三菱重工業、ITS Japanの4社・団体が出展し、内容の濃いものでした。また、ITS関係組織からITS韓国、ITS台湾、ITSアメリカ、ERTICO等からの出展もあり従来のアジア太平洋地域フォーラムにはなかったITS組織の取り組みとなりました。

    トヨタ自動車の展示

    松下通信工業の展示

    三菱重工業の展示

    ITS Japanの展示
  8. セッション関係では、アジア各国/地域の発表内容が具体的でITSがアジア太平洋に浸透していることがうかがわれました。日本からの発表はいずれも事実に即した説得力ある内容で、ITSの先進国としてのプレセンスを示しました。ESセッションに注目すると、ES1池内教授の日本のITSについて動画を交えた具体的な取り組みの紹介、ES2郡氏のETCの取り組みについて、ES3小山氏のアジア太平洋地域におけるITS標準化活動について、ES5櫛田氏による、アジア特有の混合交通の視点から日本の取り組み、ES6朝倉補佐による日本のITSの取り組み例、等具体的な紹介がありいずれも説得力のある内容でした。このほかに、スペシャル・セッション、テクニカル・セッション、メジャー・トランスポーテーション・ネットワーク・ショーケース等が行われ、日本からも登壇されました。 これらの展示やセッションから、韓国は決断と進行が速く、日本も積極的に海外に入りこむ努力が必要であることを感じました。