地域ITSフォーラム2021

~新たな人や仕事の流れを生みだす地域づくり、公共の価値を考える~

地域の課題や地域づくりの具体的な取組みを知る活動においては、国の政策動向についても理解する必要がある事から、第1部の講演では、国土交通省で議論されている国土計画の変遷、国土の長期展望専門委員会最終とりまとめ、次期国土形成計画について、国土交通省総合政策局の麻生専門官から講演頂きました。また、地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインにたずさわり、まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、市民参加型のパークマネジメントなどに関する数多くのプロジェクトを手掛けているstudio-L代表の山崎亮氏、自治体の取組みとして、住民自治を活かした持続可能な取組みを進める鳥取県智頭町の酒本和昌氏、担い手の取組みとして、大自然や作物など魅力にあふれ、都市部からのアクセスなど地の利が良い地域を舞台に、新しい働き方や暮らしを変えるサービスを地域の方々と共創する事業づくりを目指している一般社団法人うごく街代表今井武氏から講演を頂きました。
第2部のグループディスカッションでは、登壇者の取組みに合わせて4つのグループを作成し、登壇者とITS関係府省庁さま、会員企業の皆さま、ならびに事務局メンバーも加わって、地域づくりや公共の価値を考える前向きなディスカッションをZoomのブレイクアウトルーム機能を使用して行い、第3部として、各グループでディスカッションした概要を報告してもらうことで参加者全員で討議結果を共有しました。

■プログラムと講演のポイント
 2022年2月8日(火)13:00~17:15 Zoomによるオンライン開催

■第1部講演:Zoomウェビナー
  講演1:国土交通省総合政策局総務課 専門調査官
      (併)政策統括官付 (併)国土政策局 総合計画課
      麻生 宏斉氏
      国土計画を巡る最近の動き
  講演2:studio-L 代表取締役 
      コミュニティデザイナー 山崎 亮氏
      コミュニティ中心の地域づくりと公共の価値 
  講演3:鳥取県智頭町企画課 
      課長 酒本 和昌氏
      一人ひとりの人生に寄り添えるまちへ
  講演4:一般社団法人うごく街 
      代表理事 今井 武氏
      地域の課題と、魅力ある街創りに向けて

◆講演1:
 国土交通省総合政策局総務課 専門調査官  麻生 宏斉氏
      (併)政策統括官付 (併)国土政策局 総合計画課
 テーマ:国土計画を巡る最近の動き

  国土の長期展望専門委員会最終とりまとめ
   ✔ 目標:デジタルを前提とした国土の再構築、
    『真の豊かさ』を実感できる国土
   ✔ 国土づくりの視点:ローカル
    ・地域で安心して暮らし続けることを可能とし、地方
     への人の流れも生み出す多彩な『地域生活圏』の形成
   ✔ 国土づくりの視点:グローバル
    ・地域生活圏でのデジタル技術の実装等を通じた地域発のグローバル産業の育成、高付加価値
     なビジネス集積地として東京等の大都市の再生、三大都市圏を中心とするスーパー・メガリ
     ージョンによる新たな価値の創出を目指す
   ✔ 国土づくりの視点:ネットワーク
    ・デジタル世界の交流の基盤である「情報通信ネットワーク」の強化
    ・リアル世界の交流の基盤である「交通ネットワーク」の充実
    ・人口減少に応じた「国土の適正管理」の推進
    ・防災・減災、国土強靱化による「安全安心な国土」の実現
    ・「2050年カーボンニュートラルの実現」に資する国土構造の構築
    ・真の豊かさの実現に向けた「共生社会」の構築

◆講演2:
 studio-L 代表取締役 コミュニティデザイナー 山崎 亮氏
 テーマ:コミュニティ中心の地域づくりと公共の価値

  コミュニティデザインとは
   ✔ コミュニティデザインとは、地域の人達が自ら地域
    の課題を発見し解決できるよう、場づくり
    やしくみをデザインの力で支援すること
  人の心の奥底にある『小さな東京』
   ✔ 地域の人たちが主役のまちづくりを進めるために
    は、地域の文化・歴史・自然等の魅力を本気
    で信じ、人の心の奥底にある『小さな東京』を地域住民から抜き出すことが非常に重要である
   ✔ みんな小さな東京という心を持っているから、その地域の本当の良さを見出す障害になってい
    る
   ✔ 地域の人たちが、この地域は自分のものなんだ、本当のいいんだと思えるには、地域の人同士
    がいろいろな仲間を作っていくことも必要
  住民が主役となった公共施設づくり、総合計画づくり
   ✔ 生活の実感に伴った意見(住民の意見)を設計に反映する
   ✔ 参加する住民が世界の公園の事例とか日本中のおもしろい公園の事例とかを学ぶ機会を作る
   ✔ ワークショップを開催し、話し合いの場を作り、人と人がつながり、何か新しいこと、出来事
    が起きる可能性を高める

◆講演3:
 鳥取県智頭町企画課 課長 酒本 和昌氏
 テーマ:一人ひとりの人生に寄り添えるまちへ

 住民自治を大切にするまちづくりを継続的に実施
   ✔日本1/0村おこし運動
    ・日本1/0村おこし運動とは、地域に眠っている資源
     を掘り起こして磨き、宝や誇りにする活動
     がゼロからイチを生み出すという意味で1/0と呼ば
     れている
    ・地域に眠っている資源を掘り起こし、磨くことで「宝」や「誇り」を作りだすだけでなく、
     「自分たちの村は自分達で守る」という意識を醸成
   ✔智頭町百人委員会
    ・住民が身近で関心の高い課題を話し合い、これを解決するための政策を行政に提案していく
     組織であり、智頭町ならではの住民自治実践の姿
  住民と行政の連携
   ✔ 総合計画の将来像ビジョンを町民たちと共有して行く事が必要

◆講演4:
 一般社団法人うごく街 代表理事 今井 武氏
 テーマ:地域の課題と、魅力ある街創りに向けて

  南アルプス市での取組み
   ✔南アルプス市は、ユネスコエコパークにも認定され
    た国内屈指の豊かな自然を有する
   ✔農地や空き家などの休眠資源を価値化し、地域の人
    たちと一緒になって様々なアイデアで「関
    係人口」を増やしつつ、新しいサービスの創出を目指す
  地域と関係人口をつなぐ担い手事業
   ✔地域に根差した「コトを創るモビリティ」の企画製作
    ・「ケットラ」(軽トラック)をキッチン・ナイトクルーズ・DJ・災害時対応など利用シー
     ンに応じたオリジナルモビリティとして活用
   ✔古民家再生(地域拠点づくり、地域の人たちとの交流の場としても利用可)
   ✔地域資源の磨き上げと保全を行い参加者が地域の持続性を体験し、それに貢献できる環境を創
    造していく

■第2部グループディスカッション:Zoomミーティング
 グループディスカッションでは、4つのグループを構成しZoomのブレイクアウトルーム機能を使用し
 て、グループ毎に以下のディスカッションテーマを設定し、登壇者を交えた参加者全員でディスカッ
 ションを実施しました。

◆ Aグループ:デジタルとリアルの融合による地域づくり
◆ Bグループ:地域の魅力・価値向上に重視すべき考え方、事柄
◆ Cグループ:住民主体の地域づくりと公助
◆ Dグループ:地域の課題と、魅力ある街創りに向けて

⇒講演資料、グループディスカッションのまとめ資料のダウンロードはこちら(会員限定ページ)

各グループでの議論のまとめを参加者全員で共有した後に、フォーラム全体について登壇者より以下のコメントがありました。

 地域の課題解決に、地域の人々が係われる機会をなくしてはいけない(地域の人達が地元を好きにな
  る、外から人が集まる、活性化につながる)

 自分事として社会参加への危機意識を持ち、地域との関係性を作るべき(健康長寿の3つの要素は、
  適切な食事、適度な運動、社会参加)

 行政、地域の人達、外の人達の三位一体で地域課題の解決に議論を進め、どの世代にとっても魅力あ
  る地域を作っていくべき

地域づくりにおける国の政策として、デジタル技術の活用を前提に、地域で安心して暮らし続けることを可能とし、地方への人の流れも生み出す多彩な『地域生活圏』の形成という概念が紹介された。
また、地域での事例からは、地域の課題を地域に住む人たちが解決するために、住民が主役となって魅力ある地域、住み続けられる地域づくりを進める事、活力ある地域づくりを進めていくためには、住民自治を基礎として住民と行政がしっかりと連携していく事、かけがえの無い地域の資産や自然・文化を地域の魅力として再認識し、地域の人と関係人口をつなぐ“担い手(関係案内人)”の取組みが紹介された。登壇者による講演とグループディスカッションよって、フォーラム参加者には公共(自治体)の価値を高める新たなひとや仕事の流れを生みだす地域づくり、公共の価値を考える気づきや多くの示唆があったと思います。

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