ITSの潮流 2020年版

<概要>
 自動車の発展は、自動車本体の技術革新に加えて、生産システム、道路インフラ、道路特
定財源などの社会的イノベーションの連鎖によってもたらされた。電動化、情報ネットワー
ク化、自動運転など、急速に進む技術革新の成果を活かすためには、社会基盤の整備や社会
の仕組みへの波及効果を充分に考慮して実用化の方向性を見極めることが一層重要になる。
むしろ、社会的側面からの要請が技術の方向性を規定することになる。
 ITS Japanでとりまとめ、2013年10月に国内外に発信した「ITSによる未来創造の提言」
ではこの点に着目した。社会実装の現場である基礎自治体に密着して社会課題を掘り下げる
ことにより求められる価値を整理し、その実現のために必要な交通サービスを抽出し、その
うえで技術を選択・開発するというアプローチで活動を進めてきた。
 大きな考え方は今後も変わらないものの、国際競争力の低下や世代を超えて蔓延する閉塞
感を乗り越え、多様な人々がその能力を活かして、伸び伸びと活躍できる社会をつくること
が極めて重要なテーマとして浮かび上がってきた。
 そこで、本当に欲しいモノ、やりたいコトは何か、それらを実現するには何が必要なの
か、表面的な議論ではなく、自分自身の胸に手を当て、また社会の根底にある課題に迫る議
論から、自己実現や深刻な困り事の解決に取組もうとしている。
 本稿は2020年版年次レポートの特集「第4期中期計画策定に向けて~多様な人が活躍でき
る社会を目指して~」への入り口としてお読みいただきたい。

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