J-Safety委員会

2004年10月、ITS世界会議愛知・名古屋2004の開催に合わせて日本ITS推進会議(委員長:坂内正夫国立情報学研究所副所長:当時)より、「ITS推進の指針」が出されました。この中で、我が国のITSはファーストステージから各システムが連携・融合し、国民生活へ広く深く浸透し、実用・普及とその促進化の段階であるセカンドステージに入るとした上で、ITSが期待される分野として、「安全・安心」「環境・効率」「快適・利便」の3つをあげ、特に「安全・安心」に関しては、交通事故死者を10年間で5,000人以下にし、世界一安全な道路交通社会を実現するという政府目標達成に向けて官民あげて重点的に取り組むことが必要であると提言しています。

これを受け、ITS JapanではJ-Safety勉強会を設置し、議論の結果を(社)日本経済団体連合会を経由してIT戦略本部に提案いたしました。IT戦略本部は2006年1月に「IT新改革戦略」を取りまとめ、ITの持つ構造改革力を駆使して、日本社会の抱える様々な社会的課題を解決していくことを大きな柱として打ち出しましたが、この中で、ITSについては「世界一安全な道路交通社会」を実現するための重要な施策として位置づけています。交通事故を未然に防ぐため、これまでの交通安全対策に加え、ITを活用した「インフラ協調による安全運転支援システム」を民間及び関係省庁が緊密な連携をとって取り組みを加速することとし、そのマイルストーンが示されました。
 ①2006年度早期に官民一体となった連携会議の設置
 ②2008年までに公道において官民連携した安全運転支援システムの大規模実証実験を実施
 ③2010年度から安全運転支援システムの全国への展開

この政府目標に貢献すべく、ITS Japanでは2006年1月にJ-Safety委員会をプロジェクト型委員会として発足させました。一方、内閣官房のIT担当室は2006年4月に、関係省庁及び産業界の代表で構成する「ITS推進協議会」を設置しました。ITS Japanからは、常任理事4名がメンバーとして参画しました。ITS JapanのJ-Safety委員会は、ITS関連団体にアドバイザーになっていただき、3つの分科会(効果評価/普及促進/国際・アーキテクチャー)を設置して検討を行いました。2007年度には国内カーメーカー全社が実証実験に参加できるように、共用車載機ワーキンググループを立ち上げ自動車工業会と協力しながら活動を推進しました。

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ITSによる安全運転支援システム

交通事故の未然防止を目的としたITSによる安全運転支援システムは、路車間通信、車車通信を行って、車両から見えない範囲の交通状況について、必要に応じて運転者に情報提供、注意喚起、警報等を行うシステムであり、出合頭の衝突や見通しの悪い道路での渋滞による追突事故等を防止しようとするものです。 これら安全運転支援システムを2010年度から実用化することを目標にITS推進協議会が主体となり、ITS関係団体及び関連企業の協力のもと、2008年4月より、全国9地域(北海道、茨城、栃木、東京、神奈川、新潟、愛知、京阪神、広島)の一般道、高速道路において大規模な地域実証実験を実施しました。更に2009年1月より、システムの相互運用性の確認、効果・受容性の検証、国民への認知を目的に東京にて合同実証実験を実施しました。

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ITS-SAFETY2010公開デモンストレーション

官民連携のインフラ協調による安全運転支援システム開発・実用化プロジェクトは、「ITS-SAFETY2010」と名づけられ、2009年2月に、「インフラ協調による安全運転支援システム」に関わるこれまでの取組みや実験の内容、結果などを広く一般国img_J-Safety4民に周知することを目的として公開デモンストレーションを実施しました。このデモンストレーションでは、一般の方に安全運転支援システムを体感していただくことは勿論、特にマスコミ対応に重点をおき、プレス向けの公道試乗会と屋内展示会などを実施した結果、TV7番組をはじめ、計50媒体に取り上げられ、国民への周知という当初の目的を果たしました。

■会期:2009年2月25日(水)~28日(土)
■会場:日本科学未来館、及び、周辺駐車場
■主催:ITS推進協議会
    構成メンバー:内閣官房、警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省、
    (社)日本経済団体連合会、 ITS Japan
■共催:東京都
■協賛:(社)日本自動車工業会、(社)日本自動車部品工業会、(社)日本自動車連盟
    (財)道路交通情報通信システムセンター、日本自動車輸入組合
    (社)電子情報技術産業協会 ITS事業化専門委員会、(財)日本交通管理技術協会、
    (財)全日本交通安全協会、自動車安全運転センター
■来場者数:約5,000人
■参考資料:ITS-SAFETY2010 公開デモンストレーションガイドブック

活動のまとめ

  1. 2010年以降、全国展開/普及促進の道筋の具体化
    ・DSSSの運用仕組みづくりと機能確認含むフォロー
    ・DSSS・スマートウェイの広報(立上げイベント及びWeb PR等)
    ・ASV実用化に必要な課題・外部環境の整理とシナリオ作り
  2. 次世代協調型システム構想の確立
    2009年度に検討した2015年頃までのインフラ協調システムのロードマップを有効活用し、安全・安心のみならず環境・円滑/快適・利便の分野へも範囲を広げ、2015年以降の路車間システム、車車間システム、歩車間システム、そして、路車・車々連携システムについて検討しました。
    ・安全・安心/環境・円滑/快適・利便の新たなサービスアイデアの抽出とロードマップの作成(60件)
    ・このサービスアイデアを実現する上で必要となる要素技術(19件)や要求精度の洗出しを実施
  3. 海外との連携の強化
    欧米、アジアとの連携・協調作りと国際標準化支援

報告資料/関連資料(会員限定ページ)

活動報告書、委員会報告書などを、会員限定ページに掲載しています。