地域の統合的移動サービスを考えるフォーラム

■開催趣旨
 ITS Japanが第3期中期計画で進める統合的移動サービスの実現に向けて、地域との連携活動の広がりが重要であると考え、このたび『地域の統合的移動サービスを考えるフォーラム』を企画・開催しましたので、その概要を報告します。
 本フォーラムでは、先進的な取組みを進めている自治体に登壇頂き、ITS Japan の特別会員である地域ITS推進団体と会員企業、大学、ITS関連省庁が参加し、データ利活用、産官学連携、地域公共交通の再編、新たなモビリティサービス構築などに視点を定め、地域の移動課題解決、統合的移動サービス実現に向けた前向きなディスカッションの場とし、参加者の交流機会の提供を行いました。

フォーラムの会場風景

■開催概要
 日時:2019年9月5日(木)13:00~17:15
     フォーラム:13:00~17:15
     意見交換会:17:30~19:30
 場所:東京コンベンションホールAP浜松町 F会議室
    東京都港区芝公園2-4-1 芝パークビルB館地下1F
登壇者、ITS関連省庁、特別会員、委員会・研究会の有志、事務局含めて62名の参加がありました。
参加ありがとうございました。

 

■プログラムと講演のポイント
 ◆基調講演:
   福島大学 吉田准教授
    テーマ:地域課題の解決に資する「統合的移動サービス」のデザイン

福島大学 吉田 樹 准教授

・地域の「移動」と「おでかけ」の問題は、自家用車の運転可否による活動機会の格差、多様化
・小口化するニーズ、担い手不足の顕在化があげられる。
・交流機会=おでかけの創出には、魅力的なフィジカル空間と魅力的なモビリティが必要である。
・地域公共交通網を「道具」として、市民の「生活:くらしの足」を守り、「交流:おでかけの足」の機会をつくることがこれからの地域交通政策に期待される役割で、「公共交通が便利な区域」を示すことで、沿線に居住地や施設の立地を促し、人びとの「対流」を創出する。
・MaaSで「何を解決するか」を明確にすることが重要!

 

 ◆先進自治体の取組み紹介:
   講演1:香川県高松市(NEC小島氏が代理登壇)
    テーマ:スマートシティ実現に向けた高松市の取組み~データ利活用で未来のまちづくり~

スマートシティたかまつ推進協議会 事務局(NEC) 小島 佑太 氏

・高松市では、ICT・データの活用と多様な主体との連携により、様々な地域課題を解決し、
 持続的に成長し続ける「スマートシティたかまつ」の実現を目指す。
・「スマートシティたかまつ」を推進する産学民官連携の仕組みとして、会員56者、オブザーバー3者が参加する「スマートシティたかまつ推進協議会」を設立して、防災分野、観光分野、福祉分野などで具体的な取組みを進めている。
・今後は、プラットフォーム上(FIWARE)の官民の動的・静的データを今後充実させ、複数分野でのデータ利活用により、行政効率化・地域課題解決の実現を目指す。

 

   講演2:福島県会津若松市(会津若松市情報統計課 本島氏)
    テーマ:データ利活用の取組と会津大学との連携

福島県会津若松市 本島 靖 氏

・スマートシティ会津若松の目的は、健康や福祉、教育、防災、エネルギー、交通、環境など様々な分野で、情報通信技術や環境技術を活用した取組みを推進する。
・会津大学を中心とした、仮想データによる教育ではなく、実際のデータに基づくアナリティクス人材の育成を進めている。
・データ利活用では、「空き家」の抽出や路線バス再編の検討などの具体的な事例が紹介された。
・今後は、産業集積、定住人口の拡大に向けて、会津大学卒業生などのICT人材の地域定着、ICT関連企業・データ分析産業を集積することで新しいまちづくりを推進していく。

 

   講演3:愛知県豊田市(豊田市交通政策課 鈴木氏)
    テーマ:高齢者移動支援事業「たすけあいプロジェクト」の取組み

愛知県豊田市 鈴木 英之 氏

・都市と中山間地の共存する豊田市では、山村部におけるモビリティ向上、外出促進、健康維持等を総合的に支援し、高齢者が健やかで楽しい暮らしを続けられる地域づくりを行う。
・たすけあいプロジェクトの取組み内容(たすけあいカー、タクシム、健康見守り、おでかけ支援、たすけあいポイントの運用)が紹介された。
・今後は、大学の実証実験(側面的支援)から行政の事業へ転換を進める。

 

 講演4:静岡県静岡市(静岡市交通政策課 大前氏)
  テーマ:静岡型MaaSにおける行政の目指したい姿とこれまでの取組み

静岡県静岡市 大前 明生 氏

・地域課題は地域ごとに違う! ゆえに、「MaaS」の
 答えは『地域で掴み取るしかない!』
・MaaSにより静岡市が目指したい姿
 - 公共交通(鉄道・バス・タクシー・地域自主運行)相互の
  役割分担の明確化
 - バス路線の選択と集中による幹線バス路線のサービス向上
 - 幹線バス路線間の補完・ラストワンマイルを担う端末交通導入
 - 分かりやすい運行情報の提供(多様な移動手段の
  シームレス化、移動時間・料金の見える化)
 - 移動と移動目的(活動)がセットになった情報提供
 - 単なる移動利便性向上に留まらない、生産性向上・地域経済の好循環、
  都市のQOLの向上を期待!

 

登壇者の講演資料につきましては、会員ページからダウンロードできます。
 ⇒資料のダウンロードはこちら(会員限定ページ)

 
    グループディスカッション          グループディスカッションの総評

◆グループディスカッション:
  グループディスカッションでは、データ利活用や、産官学連携のあり方、地域公共交通の再編、新たなモビリティサービス構築などの視点で、ディスカッションテーマを設定し、登壇者を交えて5つのグループを構成、参加者全員でグループディスカッションを実施しました。

 各グループでの議論のまとめを参加者で共有した後に、吉田先生にフォーラム全体の総評をいただき、今やれる小さな事を積みかさね、見えるものにしていく事が大事な活動であるとのコメントをいただきました。基調講演、先進自治体の取り組む、グループディスカッションでは、ITS Japanのこれからの活動に多くの示唆がありました。